ホームページ改善アドバイザー 日向 凛

かつてまだ無知だった会社員時代、私もやってしまってた気がします。自社サイトを運営するにあたり必要なサービスを契約するのに、契約者名を社員の個人名にしていませんでしょうか。

実はこれとても危険なことです。必ず法人名義で契約し、別途担当者名を登録するようにしましょう。

エックスサーバーでは契約者名義変更に印鑑証明書を求められる

自社でホームページを運用されていたある企業様ではすでにエックスサーバーをご利用で、サイトリニューアルを期にドメインなどエックスサーバーで一括管理しようということになりました。

ところが、契約者名が退職した個人名になっていることがわかったため、私がエックスサーバーに電話をして、名義を社長に変更したいと申し出ました。すると「契約者名は変更できません」「契約者本人にしかお答えできません」という回答が。

いや、退職したって説明してますでしょう。言っている意味わかりますか?

と、意図の伝わらなさに苛立ちを感じずにいられなかったわけですが、やむなくその企業様よりメールで問い合わせていただいたところ「契約者本人の印鑑証明が必要」との回答がきたといいますから驚きです。

だから!退職したんですって。印鑑証明手に入ると思いますか?何これ?

エックスサーバーで契約者名義が変えられない理由

推測ですが、乗っ取り対策などセキュリティ面での理由によると思います。CMSコミュニティの専門家の皆さんも同様のことをおっしゃっていました。それくらい厳しいのは普通だそうです。

たしかにそれはわかります。

しかし、専門家でなくてもレンタルサーバを使うようになった昨今では、今回のようなうっかり事例はあると思うんです。今まで料金も支払ってきているわけですから、そこは何か救済措置が欲しいところ。

一番の問題は、そういう説明がなかったこと。セキュリティの観点から、簡単に名義が変えられないようになっていますとか、そういう説明があれば、ああ事情はわかってくれているんだな、でも仕方ないんだなと、腹立てることなかったでしょう。

「契約者名は変更できません」

「できないんですか?じゃ死亡していたらどうなるんですか?」

「その場合は状況に応じて対応をいたします」

「できるんでしょ?この人すでにいないんですが、どうしたらいいですか?」

「契約者本人からの申し出が必要です」

「」

最終的に、「新規で法人契約してデータ移してください」という回答を何度目かのやりとりでようやく得られました。もうそれでいいですよ。

さくらインターネット・お名前.com・ムームードメインでは印鑑証明書は不要

新規契約であれば、無理してエックスサーバー使うこともないなと思いました。もうややこしい。

私がいつも使っている「さくらインターネット」では、契約者から【サービスの譲渡】を依頼することにより名義の変更が可能です。今までそうしてきました。

ドメインも、お名前.comでは【お名前ID付け替え】で、ムームードメインでも【ドメイン譲渡】という手続きで管理権限を変更できます。印鑑証明書なんて用意したことないはず。

エックスサーバーが悪いとは言いませんが

他サービスで要求されたことのない印鑑証明書の提示を求められて驚いたことと、電話サポートの機械的な返答に疑心暗鬼になってしまったわけで、この手続き自体が悪いというわけではありません。

乗っ取りやハッキング対策として大事なことだとは思います。しかし、先にも言ったように、手続きを行う理由の説明をきちんとして欲しいのと、そういう事態に陥ったユーザの背景を汲み取って欲しいと思いました。

居所のわからない人から証明書をもらってください、って本気で言ってます?

「難しいとは思いますが…」と前置きつけて説明するくらいの人間性が欲しかったです。付け加えて、「別途新たにご契約いただくのが早い」と現実的な提案ができればベストだと思いました。

結論:社員名義で契約をしない・させない

当たり前でしょう、と思われるかもしれません。しかし、中小企業でWeb担当を一社員に一任している場合などは、こういうことが少なくないのが実情です。

Webは難しいというイメージで、ついついできる人に任せっきりになりがち。そういう人が退職してしまうと、残された社員が後処理に追われることになるわけですが、それらすべてをきちんと引き継ぎ、把握できていることって、あまり多くないのではないでしょうか。

ですので、大前提として、社員に個人名義で登録・契約させない。特にドメイン・サーバは、今すぐ自社の契約状況をご確認ください。