落語家の三代目桂枝太郎氏のあるツイートが、賛否両論の波紋を呼んでいます。

どんなツイートかというと、イベントの告知に対して「参加できない」意思表示はしないで欲しいという内容。

告知ページのコメント欄など、インターネット上の公開の場にこういう書き込みがあることで、盛り上がりに水をさしてしまうからです。

とはいえ、書いたほうももちろん応援していたつもりだったので、「そんなこと言われるなんて」と嫌な気持ちになってしまいますよね。

結論から言うと、どちらも間違ってはいない。ただ「他人の考え方は自分とは違う」ということ。

 

イベント告知側の視点

イベント告知する側からすれば、集客するために告知をしているわけです。

そんな中で、「参加できません」の意思表示が「公開の場」でされるのは、マイナスになってしまいます。

たとえば、ひとりが「参加できないけど頑張ってください!」とコメントに書いたとして。それを見た他のファンも「あっ!私も何か書こう!」と思い、同じようなことを書いたとします。

そんなコメントがいくつも並んでしまったら、どうでしょう。ちょっと辛くないですか?イベント告知する側からすれば「おいおい、そんなこと書かないでくれよ。不参加だらけじゃ感じ悪いよ。」というのが正直なところでしょう。

 

不参加コメントを書いた側の視点

その1:とにかくからみたかった

「どうしても参加したいイベントがあった。でも行くことができない…せめて、コメントで何か書いておこう!」そんなノリだったのではないでしょうか。

当然ですが、一般の人には、イベント主催側のマーケティング的な集客うんぬんの意図など知る由もありません。

その2:招待が来たので返事をした

たとえばFacebookでは、イベントの招待の通知が来ることがあります。単純に、それに対して返事をしたということも考えられます。

リアルな場で「招待」のお知らせが来れば、当然「返事」はしますよね。ただし、個人的なやり取りで、公開ではない場でされるのが普通ではありますが。

しかしFacebookの場合は、あらゆるやりとりが公開になります。

イベント告知が来れば、招待された人はイベントページを見に行きます。

「ああ、しかし日程があわない…申し訳ないけど不参加をお伝えしなくては。段取りもあるだろうし…」

そんな流れで、コメントに「行けないけど頑張ってください」と書くのは、別に変ではないと思います。

ただ、さきほども書いたように、一般の人には、イベント主催側のマーケティング的な集客うんぬんの意図など知る由もありません。

そんなことを書かれたら実は都合悪いんだよ、なんてことはまったく予想もしていないことなのです。

 

「行けないけど頑張ってください、は本当にいりません」の真意

「公開」での「不特定多数」に対する告知の場では、不参加の表明はいらないですよということ。

一対一で個人的に招待したのなら、参加・不参加は教えて欲しいと思いますが、あらゆる人を相手に一斉にした告知の場では、ひとりひとりの参加表明を承っているわけではないので、わざわざ不参加を書く必要はないのです。

きちんとした参加申し込みが必要なら、別途フォームなどで受け付けていることがほとんどです。

 

他人の考え方は自分とは違う

かといって、目にした情報に対して、何のアクションも起こさないというのは辛い・気になる…というのは、特にインターネットに不慣れな人によく聞く話です。

しかし、今回のこのツイートを見てみると「ゴメン。気持ちはありがたいんだけど、マーケティングの都合で、マイナスイメージのコメントはされると困るんだ。イベントに関わっている他の人にも迷惑がかかるんだ」という気持ちが、含まれているようにも感じます。

もちろん、そんなことは、一般の人には関係のないことですね。関係ないですけれども、ぶっちゃけ「商売」でやってるわけですから、マイナスなコメントは死活問題にもなりうるわけです。

この落語家さんが、どんな人かは知りませんが、もしかしたら本人は「別に気にしない」コメントだったかもしれません。しかし、イベント関係者から「こういうコメント書かれると困るよーーちょっとファンに注意してよ」なんて言われていたとしたら…?

楽しんでもらおうと企画したイベントが、悪気のないコメントの影響で盛り下がり、収益が出なくなったとしたら…それはとても残念なことではないでしょうか。

 

イベント主催側は一般の人の気持ちを、一般の人はイベント主催側の気持ちを、それぞれ知るだけでも、もう少し調和のとれた対応というものができるのかもしれません。

自分と違う考え方を目の当たりにしたとき、「否定された」と感じて怒る人が多いですが、そうではないんですよね。

単に考え方が違うという、それだけのこと。「ああそうなんだ、そういう考え方もあるんだ」と済ませればいいのです。

そこを、「不参加は表明しない。それが常識」と自分の考え方を誇示し合うからケンカになるのです。

常識というのは、言っているその人の世界の中での話。他の人にとっては常識ではないかも。考え方があわずに不快なら、関わらなければ良いのです。

 

それにしても…

「関係者から不参加コメントは書かないでというクレームが入っていますので、皆さまご協力をお願いします。内緒ですが」というツイートにでもすれば、笑いでもとれたのかもしれませんね。

いや、渦中にいるとそんな余裕ないですかね。

そもそも炎上狙いだったというのなら、別に構わないですが。